皆さんは会社で「人材開発」を実践しているでしょうか?
この記事は、社員の育成に力を入れている社長に向けての情報です。
人材開発と人材育成は似た言葉ですが、ニュアンスには違いがあります。
人材開発において手抜きしてしまうと、企業の将来にしわ寄せがくるものです。実際、人材開発については「企業の責任」と考えている人の割合が多く、仕事の一環として実践していくべきものといえます。これは闇雲に進めても一方通行になってしまうため、その意義や成果を確認しながら、効果的に進めていくことが望ましいです。実践だけでなく、外部研修なども有効活用しながら、人材開発につなげていきましょう。
この記事の要点はこの3つ!
1.人材開発と人材教育の違いって?
2.人材開発の責任は「企業にある」
3.人材開発を進めるためのポイント
では、さっそく見ていきましょう。
人材開発と人材教育の違いって?
人材開発と人材教育、なんとなく意味合いには違いがあるような気がしても、具体的な違いについてはあまり情報が得られないのではないでしょうか。実際、あまり厳密に定義されずに用いられることも多いのです。
あえてこの2つの言葉の意味をひも解いていくとすれば、「教育=育てること」、「開発=新たに能力・技術を実用化すること」という定義から考えていくことができます。
人材教育とは、文字通り人材を教育することですが、人材開発となると、そこにはさまざまな要素が含まれてくることになります。人材開発の中で、教育的な側面が含まれることもあれば、より実践的な要素が含まれることもあるためです。その手法に多様なアプローチが含まれると考えておくと良いでしょう。
人材開発の責任は「企業にある」
人材開発を進める目的
従業員のスキル・意欲を高めて、仕事の質を向上させることにあります。そうすることによって、社員が受ける恩恵もありますが、最終的には企業の発展にも大きく影響します。したがって、企業にとって必要不可欠といえるのです。
厚生労働省の「平成28年能力開発基本調査」の結果では、人材開発を行う責任がどこにあるのか、浮き彫りになっています。調査結果のうち、正社員を対象とした「能力開発の責任主体」について見ていきましょう。
労働者の能力開発の方針は、「企業主体で決定する」あるいは「企業主体で決定に近い」と回答した割合が、75%以上という結果になっています。労働者が個人で責任を持って能力開発を行っていくと考える割合は非常に少なく、社員に対する能力開発の責任が「企業にある」という風潮がうかがえます。
人材開発によって恩恵を受けるのも、ダメージを受けるのも企業です。最終的にはすべて企業の成長と衰退に影響してくることからも、企業が責任を持ってあたる必要があるといえます。
人材開発を進めるためのポイント
人材開発のノウハウを構築してきた会社もあれば、あまり具体的に対策してこなかった会社もあるでしょう。基本としては、次の3つの考え方が挙げられます。
[人材開発の基本]
・「OJT」 現場における教育
・「Off-JT」 業務外の教育
・「SD」 自己啓発
このなかで重視されがちなのは、OJTです。OJTは実践型の教育ということになりますが、闇雲に指導をするのではなく、しっかりと計画を立て、達成度合いを確認しながら進めることに意味があります。
また、Off-JTでは外部研修などを通して職場では得られない気づき・手法を学びます。ただ、外部研修の受講も、なぜその研修が必要なのかを考えることが肝心です。
SDに関しては、自己啓発の方法はたくさんあります。資格取得を目指したり、読書からヒントを得たり、さまざまな手法が存在します。なぜそれが必要なのか、それによって何が得られるのかをイメージできるようにサポートしていきたいところです。
OJTは実践で学ぶことなのでわかりやすいですが、Off-JTやSDで学んだことを実践に活かしていくためには、従業員や指導者が意識して取り組んでいく必要があるでしょう。
人材開発においては、社内で行うこともあれば、外部委託で実施することもあります。実際にどんなウエイトで取り組まれているのか、「平成28年能力開発基本調査」のデータを見ていきましょう。
こちらのグラフを見ると、正社員に対する教育訓練では、社内を重視するケースが半数以上という結果になっています。ただ、外部委託・アウトソーシングを活用するケースも少なくありません。
どちらが正解・不正解というわけではありませんし、多様な方法があるのは自然なことです。しかし、人材開発においては、そのアプローチの意義や達成度を踏まえて進めていくことで、本質的に意味のあるものになります。
たとえば、「この研修に参加したから、能力が高まっただろう」と安易に推測することは危険です。何のために参加するのか、得たことを業務にどう活用していくのかを考えることが、人材開発のコツといえます。