この記事は、従業員数が増加してきた中小企業の社長に向けての情報です。
労務トラブルに関する相談の件数は9年連続で100万件を超えています。
トラブルは後を絶えないので、「自分の会社には無縁」という考え方で過ごすのは危険です。
トラブルを起こさないための予防策を講じると、いざ問題が起きたとしても大きな問題には発展しにくいです。
[予防策]
・現状分析
・労務リスクの精査
ハラスメントを含むさまざまなトラブルが生じる可能性があるので、未然に防ぐための対応をしていく必要があります。
労務リスクを分析・精査しながら、予防していかなければいけません。
この記事の要点はこの3つ!
1.労務トラブルは毎年100万件超
2.多い相談は「いじめ・嫌がらせ」
3.労務リスクを分析・精査していく
では、さっそく見ていきましょう。
労務トラブルは毎年100万件超
自分の会社に「労務トラブル」は無縁だと思っている経営者もいるかもしれません。しかし、厚生労働省の総合労働相談では、平成20年度以降、9年連続で相談件数が100万件を超えています。次のグラフでその実態を確認してみましょう。
引用元:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000167799.pdf
こちらにあるように、「個別労働紛争解決制度」における相談件数は、毎年100万件を超えています。これ以外にも公になっていない些細なトラブルが存在することも推測されます。
このような状況から、世の中では非常に多くの労務トラブルがあると読み取ることができます。
単純計算で考えると、社員の人数が多いほど、こうしたトラブルが増える可能性が高まります。従業員数が増加してきた会社は、労務トラブルのリスクを下げていくための対応をすることが必須であると言えるでしょう。
多い相談は「いじめ・嫌がらせ」
労務トラブルと聞くと、まずどのようなものをイメージするでしょうか。一言でトラブルと表しても、その内容は多岐にわたります。相談件数が多い労務トラブルは、身近なところでよく起こるものと捉えることができます。
次のグラフで、相談内容の内訳を確認し、自分にも降りかかるリスクがあるトラブルを知っておきましょう。
引用元:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000167799.pdf
相談件数が最も多いのは、「いじめ・嫌がらせ」であり、ここは経営者として注意しておきたいところです。よくある労務トラブルについて、いくつかピックアップして解説していきます。
いじめ・嫌がらせ
相談者全体のうち、5人に1人以上はいじめ・嫌がらせが原因になっています。「自分の会社にはいじめ・嫌がらせはない」と思っていても、パワハラ・モラハラなどもここに含まれるため注意が必要です。ハラスメントに関しては、自覚なしにそうしている例もあるからです。
経営者の目の届かないところで、いじめ・嫌がらせなどの事態が生じている可能性もあるので、現場の状況を十分に把握するよう努めたいところです。
解雇
従業員の目線では、解雇されると生活への影響が非常に大きくなるため、不当な理由と感じれば労務トラブルとして相談に行くでしょう。
具体的には、社長の方針に疑問を呈したところ、「お前はいらない」といって解雇にするなど、理不尽な理由での解雇が該当します。どうしても従業員を解雇しなければならない場合でも、合理的な理由と配慮がなければ労務トラブルに発展します。
労働条件の引き下げ
正社員・パート問わず、不当に就業日数や賃金を減らされた場合には、労務トラブルになることがあります。労働条件を変更する場合などは、労働者の合意を得ることが必須です。一方的な対応で従業員を振り回さないよう、ルールに従った行動が必要になります。
このように、労働に絡むトラブルにはさまざまなものがあります。自身の会社でトラブルが起こらないように、十分な対策と配慮が求められるでしょう。
労務リスクを分析・精査していく
労務トラブルは、黙っていても回避することができません。やはりそれなりのアクションを起こしていかなければ、自分の目が届かないところで労務トラブルが生じる可能性があります。
労務トラブルのリスクを回避するためには、まず現状分析を行い、労務リスクを精査していくことが必要です。
一般的には、社員が30名を超えたあたりから管理が行き届かなくなり、リスクは急増するといわれています。社員へのヒアリングやアンケートを行い、リスクが潜んでいないか精査していきましょう。これまで気づかなかった問題が浮かび上がってくることがあります。
また、ハラスメントなどの具体的なトラブルに関しては、「あってはいけないこと」として社員の理解を促すような取り組みも必要になります。仮に社長自身が倫理観を持って仕事をしていても、その考え方がすべての従業員に浸透しているかどうかは分かりません。
よく起こりうる労務トラブルに対しては、具体例とともに方針を提示し、社員と共有しておくことをおすすめします。