最大8000万円融資!倒産防止共済|経営セーフティ共済とは

最大8000万円融資!倒産防止共済|経営セーフティ共済とは

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは

とても素晴らしい制度なのに意外と知らない社長が多いのが、今回説明する中小企業倒産防止共済です。

中小企業倒産防止共済は、別名、経営セーフティ共済と呼ばれており、中小企業基盤整備機構が中小企業や起業したての会社に対して提供している共済制度です。

中小企業は、ちょっとした経営環境の変化、市場環境の変化に影響を受けやすく、気がついた時にはキャッシュフローが悪くなっていることがあります。

ちなみに、キャッシュフローが悪くなるとは以下の3つの状況のことを言いますが、こんな時に活用できるのが中小企業倒産防止共済です。

1.今の時期だけキャッシュフローが厳しい
季節要因、設備投資、人員増加、支払いサイトが長い仕事を受けているなどによって起こります。

2.徐々にキャッシュフローが厳しくなってきて今後の見通しも立ちづらい
経営環境の悪化、業績不振などによって起こります。

3.突然の出来事でキャッシュフローが一気に悪くなった
震災、金融危機、社員の離反などによって起こります。

参考:
税金…社会保険…請求…給与…払えない時の3つの対応方法

中小企業倒産防止共済は、「取引業者の倒産により中小企業の連鎖倒産を防ぐための共済制度」というお題目が付いていますが、根本は資金繰りに困った中小企業がすぐに使える融資制度の提供です。

では、社長が絶対に知っておくべき中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の詳細を見ていきましょう。

中小企業倒産防止共済の利用条件は?

中小企業倒産防止共済を利用できるのは、起業して1年以上経過しており以下の条件を満たしている中小企業です。

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製造業、建設業、運輸業その他の業種
・資本金3億円以下
・従業員数300人以下

卸売業
・資本金1億円以下
・従業員数100人以下

サービス業
・資本金5,000万円以下
・従業員数100人以下

小売業業
・資本金5,000万円以下
・従業員数50人以下

ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)
・資本金3億円以下
・従業員数900人以下

ソフトウェア業または情報処理サービス業
・資本金3億円以下
・従業員数300人以下

旅館業
・資本金5,000万円以下
・従業員数200人以下
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中小企業倒産防止共済に加入できない条件

反対に加入が拒絶される条件もあります。

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・住所変更や事業変更が多く、取引状況の把握が困難な方
・経理内容が不明の方
・貸付けを受けた共済金、一時貸付金の償還を怠っている方
・中小機構に共済金、一時貸付金等の返還を怠っている方
・納付すべき所得税または法人税を滞納している方
・12か月分以上掛金の納付を怠り、共済契約を解除され1年を経過していない方
・虚偽の事実で共済金、一時貸付金の貸付け、早期償還手当金、解約手当金の支給を受けた方
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もちろん反社はNGですし、重複加入もできません。

中小企業倒産防止共済の掛け金は?

中小企業倒産防止共済は、名前の通り共済制度なので毎月一定の掛け金を支払う必要があります。

掛け金は、月額5,000円から20万円の間で、5,000円単位で選択でき、総額800万円までの積み立てが可能です。条件を満たせば増額や減額も可能で、会社の経営状態によって掛け金を変更できます。

また、掛け金は法人の場合、経費として損金計上できますし、個人事業主は必要経費に計上できます。

中小企業倒産防止共済の融資金額と返済条件は?

中小企業倒産防止共済に加入すると、掛け金総額の10倍以内、最高額8,000万円(800万円の積み立て時)まで融資を受けることができます。

また取引先の経営状況に関係なく、解約手当金の95%の範囲(30万円以上から)であれば、一時的な貸し付け(一時貸付金)を無担保・無保証で受けられます。

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例)掛け金5万円で2年経過した場合

5万円×24か月=120万円
120万円×95%=114万円 まで借り入れ可能
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返済期限は融資実行から1年間、期限一括償還で金利は年0.9%です。ただし、それを過ぎると年14.6%の違約金が発生するので注意が必要です。

任意の解約と、法人が解散したり個人事業主死亡による解約、また加入者の不正行為などで中小機構が強制的に行う解約では、解約手当金が変わってきますが、積立期間が12か月を過ぎるといつでも共済契約を解約できます。

中小企業倒産防止共済のメリット

メリット1.融資実行までが平均10日

会社を経営していると、急なキャッシュショートや今後の資金繰りが苦しい場面があります。

そんな時、銀行などの金融機関から資金調達をしようとしても、簡単に融資はしてくれません。しかも、融資されても、2か月から3か月ほど時間がかかります。

中小企業倒産防止共済の融資であれば、融資実行までの平均日数は10日ほどです。金融機関から融資経験がある社長なら、中小企業倒産防止共済がどれだけ価値があるかわかるはずです。

メリット2.掛金の損金計上で節税できる

前述しましたが、掛け金は全て損金計上できます。損金算入する方法は以下の通りです。

法人が掛金を損金に算入する場合は、『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』と、損金に算入する額(法人税関係特別措置の適用を受ける額)を記載する『適用額明細書』に必要事項を記入し、確定申告書に添付することになっています。

参考:
中小機構:倒産防止共済: 掛金を損金に算入するためには、どうすればよいですか。

メリット3.解約しても掛金の返戻が受けられる

掛け金を12か月以上支払っていれば、中小企業倒産防止共済を解約しても掛金が返戻されます。

損金算入で節税しつつ返戻が受けられるため、条件によっては割の良い保険商品よりも節税効果は高くなります。

中小企業倒産防止共済のデメリット

中小企業倒産防止共済にはデメリットもあります。

デメリット1.融資を受けると利息分相当の掛金が控除される

融資申請をして実行されると、積み立てた共済金の10分の1の金額が控除されます。

そのため、控除された額の掛け金の権利は無くなります。これは融資に対して10%の利息を取られていることと同じです。

デメリット2.解約時に納付期間で元本割れする

中小企業倒産防止共済解約時に掛け金の返戻はありますが、納付期間が40か月以下の場合、掛け金の元本割れをしてしまいます。

さらに12か月未満であれば返戻金は無く、掛け捨てとなるため気をつけなければいけません。

デメリット3.解約返戻金は雑収入として課税対象になる

解約時に戻ってきた返戻金は全額利益と見なされて課税の対象になります。

掛け金を支払っていれば節税になりますが、解約して返戻金を受け取った時は、節税していた分の税金を支払わなければいけため、解約の返戻時期は考えなければいけません。

倒産防止共済(経営セーフティ共済)まとめ

倒産防止共済には確かにデメリットもありますが、経営のリスクマネジメントとして考えるのであれば、費用対効果は高く十分使い勝手が良いように思います。

掛け金が小さくても良いため、内部留保の代わりに少しずつ掛け金を増やしていく方法が良いでしょう。

また、返戻を受け取る際、「結局雑収入だから節税対策にならないじゃん!」という考え方がありますが、よく考えてください。

あなたはずっと黒字を出し続けることができますか?

「……。」

ということです。特に起業当初は基盤を作るために経費も使います。そのため、赤字決算を行うことはあると思いますが、繰越欠損金をうまく使って、節税対策を行ってください。

繰越欠損金は2015年から新制度に変わり、使い勝手が上がっています。

繰越欠損金が使える法人の条件は以下の通りです。

1.青色申告法人であること
2.毎期決算書を提出していること
3.帳簿書類等を保存管理していること
4.対象欠損金が繰越期限切れでないこと

参考:
繰越欠損金とは?2015年4月法改正の内容と注意点

蓄積した掛け金の返戻を行う場合は、経営計画の波に合わせて上手に行いましょう。

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