融資はピンチのためにあるもの?
会社経営者、社長にとって融資が如何に大事なことなのか、もちろんご存じなはずです。
融資とは一体何でしょうか。融資が会社にもたらすことは何でしょうか。
まず、融資とは、資金が必要な個人または法人が、金融機関等から資金を調達することを言います。
また、金融機関は、融資(貸与)した金銭に対して利息を得る目的を持っています。
融資は誰でも気軽に受けられるわけではありませんし、お金を貸す金融機関も慈善事業で資金融通をしているわけではありません。
そのため、私たちは何となく「お金を借りたい!」というだけではなく必ず融資の目的を持っておかなければいけません。
法人の融資目的は事業資金を獲得することだと思っている社長!もちろん間違ってはいませんが、もっと深く融資の目的を考えなければいけないんです。
融資の目的は以下の5つに大別できます。
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1.融資は次の事業展開を買うため
2.融資は成長スピードを補う時間を買うため
3.融資はスケールメリットで商売のチャンスを買うため
4.融資は返済実績という信頼を買うため
5.融資は今を乗り切る鎮痛剤を買うため
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もし、融資の活用方法がわからないという社長は、今から説明する融資の5つの目的を一通り押さえておきましょう。
そして、事業資金が必要だと感じた時は、融資目的の妥当性をしっかり判断して、融資手続きに臨むようにしてください。
融資の目的1.次の事業展開を生む固定資産を買うための融資
恐らく一番多いのが設備投資等の固定資産に使うための融資でしょう。
小売業や店舗サービスを始める場合、また、製造業で機械が必要な場合などは初期投資が必要になります。初期投資を自己資金で賄うことはなかなか難しいはずです。
また、違う事業やサービスを始める、新しい店舗をオープンする、生産量を上げる機械を増設するなど、新しいことを始める場合にもまとまったお金が必要になります。
その際に「次の事業展開を買う」ために融資が活用されます。
融資の目的2.会社の成長スピードを補う時間を買うための融資
商売がうまく回っていても、キャッシュが足りなくなってしまうことは珍しくありません。
例えばシステム開発業や建設業では、会社の成長に繋がる大きな案件にこそ入金リスクが伴います。例えば、顧客の入金サイトによって半年間キャッシュが入ってこない等はよくあります。
そのような場合に対応するために、会社の基盤が強くなることを待っていては成長スピードが鈍化してしまいます。会社の成長スピードが早く、大きく成長する見込みがある時ほど、事業を繋いでくれるキャッシュが必要です。
このようなケースに必要な融資を「つなぎ融資」と言います。
成長がある程度確実視できれば、「成長スピードを補う時間を買う」ための融資はとても有意義なものになるでしょう。
融資の目的3.仕入などにスケールメリットを設けるための融資
商売には流行り廃りがあり、今この時期でなければ売れない!というものはたくさんあります。
特に、ある分野に特化した商材を取り扱っていると、商材特有の売れる臭いはプロの肌感でしかわかりません。でも、いざ利益を上げるのは今だ!と思っても、元手がなければ商材を仕入れることもできません。
なるべくロットを大きくし、仕入れ単価を下げ、商材あたりの利益を上げるためにはある程度のお金が必要になります。
その際に「スケールメリットで商売のチャンスを買う」ために融資が活用されます。
融資の目的4.将来に備えて返済実績を作るための融資
急激な規模拡大の必要性もなければ、仕入を行う必要もない場合でも融資を行っておくことで作れるメリットがあります。
それが「返済実績という信頼を買う」ために活用される融資です。
この場合は借りたお金を何かに使うわけではなく、借りたお金に利子を付けて返しておくことで、本当に必要な時期に借りやすくするために行います。
銀行とのお付き合いの中で返済実績を作ることが目的なので、大きな額を借りる必要はありません。
この返済実績を付けておくことで、「雨が降っても傘を貸さない」ということを防ぐことができるかもしれません。
融資の目的5.乗り切りたい最後の切り札となる運転資金融資
この融資もかなり多いはずです。しかし、一番避けたい融資目的でもあります。
いわゆる自転車操業の場合に運転資金の融資は必要になります。ただし、多くが自分の首を締める結果につながります。
もちろん今を乗り切るためにこの融資が必要な場合はありますが、戦略的に借りるわけではありません。あくまでも最後の切り札なので、大きな体制の立て直しを図らない限り、復活はなかなか難しいでしょう。
「とりあえず今を乗り切る鎮痛剤を買う」ために融資が活用されます。
融資・資金調達が持つ重要な5つの目的のまとめ
融資が持つ5つの目的を見てもらいましたが、もう一度おさらいをしましょう。
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1.融資は次の事業展開を買うため
2.融資は成長スピードを補う時間を買うため
3.融資はスケールメリットで商売のチャンスを買うため
4.融資は返済実績という信頼を買うため
5.融資は今を乗り切る鎮痛剤を買うため
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融資というのは、うまく使えば非常に効果的に事業を展開できる道具であるとともに、単なる苦しさから逃れるための鎮痛剤にしかならない、という2つの側面を持ちます。
もちろん、あなたの融資目的が鎮痛剤であってはいけないと思います。
そうならないためには、将来を見越した資金計画と事業計画、そして日々のキャッシュフロー計算と効果的な組織運営が必要不可欠です。
簡単な事業計画から融資が必要かどうかを判断する方法もあるので、以下を参考にしてください。
参考:
簡単な事業計画書から事業資金融資の必要性を考える方法
今回ご紹介した融資が持つ5つの目的を見直して、融資を受けようと思った時に、どの目的に当てはまるのかを一度考えてみてください。
その際は必ず、複数ある融資の種類とその他の資金調達方法を押さえておきましょう。