既存のブランドが生き残れるように、更なる磨きをかけていくことは必須のプロセス。
今回は、リブランディングの基本と事例を紹介していきます。古くなったブランドを時代のニーズに合わせて再構築していく過程を見ていきましょう。
リブランディングの考え方
リブランディングとは、既にあるブランドを再構築・再定義することです。市場環境の変化・ブランドの劣化などが原因で従来のやり方では通用しなくなることはしばしば。そうしたときに、既存のブランドを新しい形へと変えていく、いわゆるリブランディングが迫られることがあるのです。
ブランドとして確立されてきた製品・サービスでも、例えば顧客が高齢化してしまえば、当然売り上げは落ちていきます。他にも、時代とともに価値観や嗜好性は変化していくので、かつての流行していたブランドでも「古いもの」とみなされてしまうことがあるのです。そうした場合、次の世代にも受け入れてもらうことができるよう、うまくシフトしてアピールしていく必要があります。このリブランディングに成功するかどうかが、企業を長く栄えさせ続けることができるかを左右するといっても過言ではありません。
リブランディングを考える上でわかりやすいのは、一発芸でヒットした芸人の例です。そこから生き残れるかどうかはニーズにどう適応していくかという姿勢にかかっているでしょう。製品・ブランドに関しても同様であり、時代やニーズに適応する力が試されているのです。
成功事例・失敗事例
リブランディングの成功事例・失敗事例をいくつかご紹介します。ブランドのイメージを刷新すれば必ずヒットするというわけではなく、やはりうまくいかないケースも存在します。ブランドのイメージというものはデリケートであり、製品の良し悪しというよりも、この「イメージ」や「ブランド力」が結果を左右することもしばしばあるのです。
1. 大塚家具
記憶に新しい事例としては、大塚家具のケースがあります。現社長の大塚久美子氏が、父であり創業者の大塚勝久氏と対立し、世間を騒がせました。久美子氏が社長になってからは中価格帯の家具を取り扱うようになったが、高級家具を好んでいた顧客が離れてしまったといわれています。
2015年までは550億円前後の売り上げがありましたが、その後に売り上げは減少。「低価格」というイメージが先行し、ターゲットを絞れないまま売り上げは低迷。2016年には最終損益が43億円となり、2017年も巨額の赤字を見込んでいます。大塚家具では、業績を見る限りリブランディングは失敗だったといえるでしょう。ターゲットをどこに絞るのかが明確なようで実は明確でなかったために、リブランディングがうまくいかなかったのです。もちろん大塚家具の場合は親子喧嘩のイメージが定着してしまったことも打撃となっていると推察されます。
2. 井村屋
リブランディングの成功事例としてよく取り上げられるのが、井村屋のあずきバー。あずきバーといえば昔ながらのアイスというイメージで、中高年から支持を集めていました、しかし、消費者の高齢化を受けて、2013年からは若者にも親しんでもらえるよう、CMやSNSの活用に力を入れました。その結果、次のグラフのように売り上げが増加しています。
グラフを見ても、うまく消費者の層を拡大できた結果が反映されていますね。若者からしても、「昔ながらのあずきバー」というイメージから、「現代でも受け入れられる和風スイーツ」のようなイメージに変化していったのでしょう。このように、リブランディングで結果を出せている企業も多く、時代のニーズやターゲットを熟考した上で戦略を立てたことが成功に結びついたといえます。
リブランディングのコツ3つ
リブランディングを進める上で、コツとなるのは「初心に立ち返ること」といえます。そのブランドがどのような個性を持っていて、どんなコンセプトの元で展開していくべきなのか。そこがぶれてしまえば、方針もぶれてしまうでしょう。
2つ目は、ターゲットとする消費者の層を決めること。自社のターゲットをどこに絞れば良いかわからないというときは、SNSを使って自社についてリアルな声を探ってみることも有効です。地道な作業にはなりますし、SNSを使ったことがない経営者にとっては抵抗が感じられるかもしれませんが、ここは試す価値がある部分です。ターゲット層を見直してみるだけでも売り上げがアップに貢献するケースも多いので、今何が求められているのかを熟考しましょう。
最後に、ブランドのアイデンティティを考えること。自社のブランドが、ユーザーから見てどんなイメージであることを望むのかを考えてみてください。企業としてどのような価値を提供していきたいのかという部分は核となります。ブランドのアイデンティティを考えるときは、競合の会社のことも意識しながら、独自の価値を創造していくことを意識しましょう。
まとめ
リブランディングは、企業にとって、ブランドにとって、必要不可欠なプロセスです。
遅かれ早かれ必要になる場面がやってきます。そのときに衰退してしまうのか、あるいは価値を再構築できるのか、リブランディングする力にかかってくるでしょう。事例から学び、製品やサービスを発展させていきたいところです。