定期的に支払われるボーナスは、従業員のモチベーションを高めることができる報酬。
企業によっても支給金額は異なりますが、一体いくら払うのが妥当なのでしょうか。
今回は事業者目線でボーナスのあり方について考えていきます。
従業員満足度を高める取り組み
多くの企業は「顧客満足度(CS:Customer Sartisfaction)」を重視して、製品やサービスの品質向上に努めています。
ところが、近年は「従業員満足度(ES:Employee Sartisfuction)」を高めることで、結果的に会社の業績が上がる事例が注目されるようになってきました。
「お客様第一」の精神から、従業員の働きやすさを考える姿勢も重要視されるように変わってきているのです。
経営者として従業員を酷使するのではなく、従業員が働きやすいと感じる環境づくりに尽力し、働き手の待遇を向上させる意識を持つことは欠かせません。
休暇の取りやすさなど様々な配慮は可能ですが、福利厚生や賞与によって得られる満足度も大切な要素です。
そうした待遇面の改善によって、優秀な人材が長く企業にいてくれるので、結果的に事業の発展に結びついていくのです。
中でも、従業員の満足度に直結しやすいのは「ボーナス」や「福利厚生」などの存在。ダイレクトにメリットを見出せる部分であり、事業者としても可能な限り力を入れていきたいところです。
福利厚生と賞与で満足度向上
従業員の満足度を高めるためには、まず福利厚生の充実が挙げられます。
福利厚生とは、従業員に支払われる給与以外の待遇のことです。
一般的に福利厚生は次の2つに大別されます。
・法定福利厚生
・法定外福利厚生
法定福利厚生とは、社会保険料を含む保険料や年金のような会社が負担するものを指します。
一方、法定外福利厚生は住宅手当・資格手当・家賃補助・社員食堂や保育所の利用など事業者が独自に提供しているものです。
そもそも福利厚生とは、「従業員が生活を向上させるために生じる費用」とされているので、この条件を満たしていれば概要することになります。
ただ、一般的には福利厚生といえば法定外福利厚生の例にあるような手当・待遇を想像する人が多いです。
賞与(ボーナス)は従業員のモチベーションを高めることができるものですが、こちらは「給与」に該当するので福利厚生という扱いにはなりません。
ボーナスは出さない会社もありますが、やはり従業員としてはやる気のアップにつながります。
本来、ボーナスも労働に対する対価であり、会社の利益から捻出されるものです。
しかし、労働者からすると「プレゼントやご褒美のようにもらえるもの」という印象が強いのです。
実際には、ボーナスがないかわりに、毎月の月給を高めに設定している経営者もいます。
しかし、まとまった額でボーナスをもらうことができると、「もうすぐボーナスだから頑張ろう」という気持ちを駆り立てることができるでしょう。
仮にボーナスがない分、毎月の給料を上乗せしても、「ボーナスのない会社」=「待遇の悪い会社」という印象を植え付けてしまう可能性があるのです。
実際、マイナビが行った調査によると、2016年に夏の賞与額によって転職への意識がやや強くなった・かなり強くなったとする人は47.1%もいたとか。それくらいボーナスの有無や金額が従業員に与えるイメージというものは大きいのです。
夏ボーナスはいくら払えばいいのか?
夏ボーナスは、大手企業になればなるほど金額が大きくなる傾向にあります。利益から捻出されるものなので当然といえば当然かもしれません。
実際の夏ボーナスの支給額を見ていきましょう。
日本経済団体連合会の「2016年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)最終集計」をもとにして作成された上のグラフを参照すると、支給額に関しては20万円〜30万円台の分布が多いことがわかります。
中には高額の夏ボーナスを支給しているところもあるため、平均すると46万円になります。
データを小さい順に並べたときに真ん中にくる値を意味する「中央値」では、35万円という数字になっています。
年齢別で中央値を見ていくと、25歳で30万円、30歳で36万円、35歳で40万円という結果に。年収にもよりますが、だいたいの目安としてはこのくらいの金額を支給してあげたいところです。
退職の理由として「給与の不満」は多く挙げられますが、せっかく自分の会社に従事してくれる社員が離れていかないよう、中小企業でも売り上げに応じてボーナスをアップさせるなど配慮していきたいものです。
少なくとも「ボーナスなし」としている会社はこの機会にボーナスのあり方を検討してみるのが良いかもしれません。
夏ボーナスのまとめ
企業の発展のためには、お客様満足度だけでなく、従業員満足度も重要です。
従業員のモチベーションを上げるためにボーナスの位置付けは大きいです。
ボーナスの金額はどのように設定するか迷うものですが、一般的な支給額を参考に検討してみると良いでしょう。