経営理念は本当に必要なのか?
会社案内パンフレットや企業サイトを見ると、社長の思いとして経営理念が書かれています。
あなたの会社のパンフレットや企業サイトにも、経営理念が書かれているかもしれません。
何となく歯が浮くような言葉だったり、どこか誇大な感じがしたり、「お客様のために~~」なんて当たり前のことを書いても、いまいちピンと来ない。
そもそも、経営理念をわざわざわかりやすい言葉に変える必要があるの?
そう思う方もいるでしょう。昔私がそうであったように……。
もし、まだ経営理念を明確にしていない、または、明文化していない社長がいるなら、今週末すべてを経営理念作成にあててみてはいかがでしょう。
経営理念の明文化はそれくらい重要で、火急性があります。経営理念の重要性を知るために、経営理念の3つの意義を押さえておきましょう。
経営理念の意義1.経営の基本軸として
大なり小なり目標を作ることが大事だということは、多くの方が認識していますね。
目標の作り方のセオリーは、大義を掲げ、それを年単位の大項目に分類し、中項目に分類し、小項目に分類し、それぞれをスケジュール化して、日々の成功体験を積み重ねていくというものです。
経営理念とは、この大義、または大義よりも大きなものとして掲げます。自分は何のために会社を経営するのか、この会社が目指す目的は何か、ということです。
特に難しく考える必要はありません。
これを人の生き方に当てはめると「嘘をつかない」「女性には優しくする」「困っている人がいたら必ず助ける」、このような基本的な考え方を示しているだけに過ぎません。
しかし、こんな基本的なことも、日々思っていなければ疎かにしてしまうものなのです。
経営理念を明確化し明文化することで、経営の判断に迷ったとき、ピンチに陥ったときに、方向性を間違えず、基本に戻ることができる経営の軸になります。
経営理念の意義2.組織の行動指針として
経営理念とは、その企業を体現するようにルール化し、組織に浸透させる必要があります。そうすることで、1つの旗の下に人が集まってくるようになります。
例えば、電通の「鬼十則」やオリエンタルランドの「ハピネス」は非常に有名ですし、この理念に共感して入社を決めた人も少なくないでしょう。
参考:
心を動かす有名企業の社訓・社是・理念 – NAVER まとめ
経営理念は会社の基本的な行動指針であり、方向性であるため、組織に浸透させることで従業員の行動を明確にできます。
経営理念が浸透した組織では、経営理念という行動指針を軸に基本的な行動を行うため、従業員それぞれが自律的に判断できる強い組織を作ることが可能です。
経営理念を大切にしている会社は、常に基本に立ち返るために経営理念を活用しているため、従業員がソラで経営理念を言えることは普通です。
これは従業員にとって、組織に所属しているという意識を強くし、所属意識が会社や仕事に対する誇りを生み出します。
もちろん、会社や仕事に対する誇りはモチベーションの向上につながり、さらに会社の目的を達成する原動力になるでしょう。
経営理念の意義3.外部からの信頼として
経営理念は、経営や組織の方向性を明確にするだけではなく、外部からの見られ方を変えてくれます。
経営理念を社外に発信することで、「会社を通じて社会に貢献し、新しい価値を作っていく」という想いを伝えることができます。
そして、組織内においては、外部から見られていることを意識することで、大きな期待を背負い、大きな使命を果たしているという責任感が生まれます。
もちろん、使命を全うすることで、経営理念に共感する人からの信頼も得ることができるようになります。
経営理念を明文化する3つの意義まとめ
経営理念は時として疎かにされがちです。なぜなら、「何となくきれいな言葉を綴っておくものなんでしょ?」と思っている方がいるためです。
私たちは、子どものころに親から何かを教わるとき、いろいろな枝葉を削ぎ落としたシンプルな言葉で教えられるはずです。
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・嘘をつかない
・人に優しくする
・困っている人を助ける
・すぐに諦めない
・大きな声であいさつする
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これを繰り返し言われ続けていると、心と体に浸透します。私たちはこれらの言葉を、単純に「きれいな言葉」とは思わないはずです。これは、人としての基本だ、と。
経営理念は、子どもの時に親から教わった「人としての基本」と全く同じものだと思ってください。
子どもの時にこのような言葉を全く言われずに育ってしまったら、もしかしたら、これらが正しいことだと素直に思えない人間に育ってしまっていたのかもしれません。
いずれにせよ、経営理念は「作ればいいんでしょ。」ではありません。大義を成すための基本指針として、活用しなければいけません。
筆で書こうが、マジックで書こうが、壁に貼っておこうが、額に入れておこうが、何でも良いのです。
とにかく、常に意識し、社内に浸透させ、外部に理解を得られるような経営理念を作って、会社と人生の大きな柱にしてみましょう。