ベンチャー企業の経営危機データベースとは
経済産業省がネット上で発表している「ベンチャー企業の経営危機データベース」というものをご存知ですか。
これは平成19年度、28都道府県(非公開14)の企業、20代から60代の社長(非公開3)を対象に、事業が失敗し倒産や経営危機を味わった83事例を掲載したデータベースです。
本データベースには、平成19年度にベンチャー企業にインタビュー調査を実施して収集した83の失敗、トラブル、ヒヤリとした経験に関する事例を掲載しています。事例は、ベンチャー企業の成長ステージや失敗、トラブル、ヒヤリとした経験の原因及び結果といった分類項目をもとに検索が可能となっています。
業種、従業員数から、グラフを使った失敗までの経緯、年表、失敗詳細までが細かく記されているためイメージがしやすく、倒産してしまったケース・乗り切ったケースがあり色々と考えさせられます。
経営に悩みを抱えている社長や今後のリスクヘッジを考えている社長が目を通しておくと、役に立つデータベースです。
それでは、「ベンチャー企業の経営危機データベース」を知るために、記載されている事例をご紹介しましょう。
倒産の危機に会い、資金調達により回避したケース
ベンチャー企業の経営危機データベース 商品の爆発的ヒットから増産体制をひくも、翌年大量のキャンセル債務超過となり、倒産の危機に(METI/経済産業省)
業種:製造業
事業分野:電子機器
事業概要:工場等で使われる電子機器が基幹事業。一方で、基幹事業の技術を応用した商品Aの製造販売等も行っている。
社長の年齢:40歳代
経営危機事例の経緯詳細
主力ではないある商品が予想外に爆発的ヒットしたことで、売上は1年で倍増。
借入や人員増強による増産体制を引いたが、気象条件の影響などを受けて大量のキャンセルとなり大きな損失が発生。
メインバンクからは追加融資の打ち切りを宣告され、倒産の危機に立たされた。
残った社員一丸となって経費削減することで資金調達に成功し、倒産の危機を回避した。
経営危機の要因:売買契約に対する経営スタンスの崩れ
発注書なしで受注を取ってしまったことが、大量のキャンセルおよび損失をかぶるという事態を生んだ。
代表は大手メーカーにいた事もあり元々契約書に対する意識は強かったが、地元経営者からの「ある程度のルーズさも必要」とのアドバイスを受けたこともあり、結果的に契約に対するスタンスを崩してしまった。
倒産理由や経営危機情報を蓄積した経産省サイトまとめ
上記事例は省略したものですが、こちらから見ていただくと、一つ一つの事例が丁寧に情報収集しまとめられたデータベースだということがわかります。
業種、成長ステージ、失敗の原因、失敗の結果などから見たい事例を選択できるため、自社の場合どのケースが起きそうかなど考えながら参考にできます。
教訓や後日談も盛り込まれており、読み物としても面白い内容です(不謹慎ですが)。
全てのケースにおいて、うまくやれば失敗を回避できたかと言うとそうではないと思いますが、明らかな判断ミスだと思えるものもたくさんあるので読んでおいて損はありません。
一度ご覧になって、経営リスクヘッジの参考にしてみてはいかがでしょう。