若手は様々な理由で会議の発言ができない
会社が無駄な会議を繰り返さないように、上手な会議のやり方、会議で成果を出す方法などのHowTo書籍はたくさん出版されていますし、一時期話題にもなりました。
そんな流れがあるにもかかわらず、一向に無駄会議が減らない理由は「やってはいけない3つの無駄会議」をしっかりと把握できていないため、というお話をしました。
1.方向性がない会議
2.意見が出ない会議
3.社長の独演会議
このような無駄会議に対して特に違和感を感じているのが、入社間もない20代の社員たちです。
彼らは意味のない会議に辟易しながらも、自分から意見を言って波風を立てることもできず、「早く終わらないかなぁ。」と時間が過ぎるのを待っています。
何という時間の無駄でしょう。社長としては、若い社員が中心になって会議で発言をして欲しいはずです。
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・若い社員が積極的に発言することで成長に繋げたい
・世代が違う意見を聞き、大きな参考にしたい
・会議を通してコミュニケーション能力を高めて欲しい
・若い社員の発言内容によって、スキルを見極めたい
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会社にとって若い社員が発言をすることは、時間効率よりも大きなメリットが得られる場合があります。では、どうすれば、若手は積極的に会議で発言をするんでしょうか。
今回は、上手な会議のやり方を掘り下げて、若手が発言をしやすい、アイデアを出しやすい会議を行うためにはどうする?というお話をしたいと思います。
若手が発言しやすい会議作り1.否定意見を言わないルールを設ける
誰かの発言やアイデアに対して否定意見を言わないルールを設ける、これはよく聞く話です。ブレインストーミングのルールの1つでもあります。
例えば、ある商品を販売するための販促方法のアイデア出しが行われていたとします。
若手社員が「チラシはどうでしょう?」と発言します。すると間髪入れず、「それはもうやってるんだよ。なんで知らないんだよ!ちゃんと理解しとけよ!」と、役職からお叱りの声……。
これでは、若手社員はこれ以上話すことができなくなってしまいます。もし仮に若手社員が、茶々を入れられる前に、
「今の◯◯市に対して配布している5万部は反応率が1%を切っています。以前、チラシを撒いていた△△市は3年前ですが反応率は2%でした。△△市を含めて、テスト的にもう少し広い商圏にチラシ配布を行ってみましょう。」
と言おうとしていたのであれば、貴重な意見を1つ潰し、さらに若手の会議に対する意欲も潰したことになります。
発言1つ1つに反論していては良いアイデアが出ません。かと言って、若手社員のために発言1つ1つを褒める(褒めるところを探す)というのも変ですし、面倒な話です。
良いアイデア、悪いアイデア、既に出たアイデアに似たものなど何でも構わないので、まずは、全てのアイデアを出しきって、後から1つずつ見直すのが効果的です。
若手が発言しやすい会議作り2.時間が限られてることを意識させる
会議の進行役は、必ず会議の議題と目標時間を最初に宣言するようにしましょう。
全員が時間を意識することで、会議に集中できるため、意見やアイデアを考えやすくなります。
時間が決まっている中で、全ての若手社員に意見を求めるのは腕のある進行役でも難しいのですが、意見を持っていそうな若手社員を発見することは可能だと思います。
「もうそろそろ時間なので一旦まとめたいと思いますが、◯◯君はこの意見に対してどう思いますか?」
など、会議の閑話休題として若手に話を振って、少しでも発言を引き出すようにしてみましょう。
若手が発言しやすい会議作り3.進行役が呼び水を作る
会議に慣れていない若手にとって困ることの1つが、意見を求められた時の発言のレベルがわからないことです。
全体の見通しができて、経験もある役職者が質の高い発言をできるのは当たり前です。ただし、質の高い発言ばかりだと感じてしまうと、若手社員は発言ができなくなってしまいます。
そのため、進行役はわざと発言の呼び水となる意見やアイデアを出すように心がけましょう。
例えば、「24時間テレビジャックをして、商品を徹底的にアピールしたらどうでしょう。」「商品に人工知能をつけて、サポートのコストを削減できる掃除機を実現できたら面白いと思いませんか。」など。
「かなり尖ったアイデアを出しても問題ないんだ。」と思わせることで、若手社員が発言しやすい雰囲気を作ってあげてください。役員や社長には事前に触れておいた方が良いですけどね。
若手が発言しやすい会議作り4.論点の組み立てパートを振る
会議の発言で良くある内容が、言いっぱなし意見・アイデアです。
意見やアイデアには必ず根拠が必要なのですが、アイデア出しの会議においては、まず一通りアイデアを聞いてから、1つずつ精査をしていくという流れがあります。
そこで、精査段階において、若手社員に「ヒト・モノ・カネ」の観点での意見を求めてみても良いでしょう。
アイデア出しよりも難しい内容ですが、テーマが絞られるので論点が大きくズレてしまうことはないはずです。
時には無理矢理にでも、回答せざるを得ない状況を作り出すことも必要です。
若手が発言しやすい会議作り5.発言者が責任を持つ暗黙のルールを変える
往々にして、アイデアや意見に対する責任は発言者に帰属します。つまり、「アイデアを出したらどうやって実現させるか明確な解を出せ!」ということです。
これは、当たり前のことだと思うかもしれませんが、経験が浅い若手社員には、実現可能な全ての根拠にまでは考慮が及ばないものです。
そこで、若手社員には実現可能・不可能は全く関係なく、アイデアを出させて、上司や役職者が「どうすれば尖ったアイデアを実現することができるのか。」ということを考える会議にします。
これで、若手社員はかなり肩の荷が軽くなるはずです。根拠はなくてもいいから、思いついたなるべくたくさんのアイデアを発言することだけが命題になります。
もちろん、「そんなの実現不可能だろ!ちょっとは考えろよ!」というのは無しです。
若手が発言しやすい会議づくりまとめ
若手社員は経験が浅いため、頑張って発言した内容やアイデアだったとしても、上司や役職者には拙く感じます。
もちろん、若手社員の発言を拾っていくことは、コンパクトな会議には反する行為かもしれません。ただ、時には、年齢、性別、立場がミックスされた場で発言をすることで、経験を積んでいかなければいけない時もあるのです。
社長は、会社の今を見ることも重要ですが、若手社員が育っていく5年後、10年後も見据えて、会社を経営していかなければいけません。
そして、そこに必要な考え方は、やはり以下の考え方なのです。
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・若い社員が積極的に発言することで成長に繋げたい
・世代が違う意見を聞き、大きな参考にしたい
・会議を通してコミュニケーション能力を高めて欲しい
・若い社員の発言内容によって、スキルを見極めたい
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貴重な会議の時間を少し工夫して、若手社員が十分に育っていけるルールと環境を作りましょう。