近年、FXをする人が増えてきました。手軽に始められることはメリットですが、利益があれば自分で確定申告を行う必要があります。
そして意外と忘れがちなのですが、損失が出ている場合にも確定申告をするメリットがあることから、FXをする人は確定申告に関わる基本の知識を身につけておくことが必須といえるでしょう。
自営業の人は所得38万円が境界
自営業やフリーランスの人は、「自分の所得」と「FXによる利益」を合算して38万円を超えると確定申告が必要です。FXがメインの事業内容でなければ、基本的には雑所得という扱いになり、確定申告の際に記入するという形になります。
給与収入額が2千万円以下の給与所得者の方は、給与以外の各種所得の合計金額が20万円を超えたときに確定申告が必要となります。給与所得が2千万円を超えている場合には他に収入が無くとも確定申告が必要です。
最近では専業主婦でもFXにトライする方が増えていますが、専業主婦・フリーターの場合には年間の所得が38万円以下なら確定申告は不要です。
また、FXでは取引を頻繁に行って為替差損益によって利益を上げる方法が主流ですが、中にはスワップポイントによる利益が目当てでFXをしている人も少なくありません。
スワップポイントとは、2国間の金利差によって得られる利益のことであり、金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買った場合にその金利分の差額を受け取れる仕組みのことです。日本は低金利なので、金利の高い国の通貨を買ってスワップポイントによる差額を受け取っている人も多いのです。
FXの確定申告では、通常の為替差損益とスワップポイントによる利益を合わせた金額で計算されることになります。取引を頻繁にしていなくても、知らず知らずのうちにスワップポイントによる利益を手にしている可能性もあるため、その際は確定申告が必要になる可能性が高いでしょう。
確定申告しないとどうなるのか
FXの利益は確定申告しなくてもバレないと考えている人も多いです。しかし、FXを含む様々なフィールドにおいて、税務署は脱税者がいないかチェックしています。
実際、近年は検察庁への告発件数が急増しましたが、その背景にはFXを含む取引による利益が申告されていないケースが増えてきていることも影響しているようです。
FXで利益があるのに確定申告をしていなかったとしても、多くの場合執行猶予がつくことから甘く見ている人も少なくありません。
ただ、確定申告の必要があるのにしておらず、納めるべき税金を納めていなかったことが発覚した際には、場合によって35〜45パーセントの重加算税を支払う必要に迫られます。過少に申告していた場合には35パーセント、無申告だったときには40パーセントがプラスされてしまいます。
きちんと確定申告を行っていれば所得額に応じた所得税と住民税だけ納めれば良いのですが、所得隠しが発覚した際には重加算税が課せられ、加えて延滞税・利子税も支払う必要に迫られます。納税を延滞したことに対して年利14.6パーセントが課せられることになり、通常よりも多くの金額を納めなくてはならなくなります。利益がどの程度であるかにもよりますが、利益が多い人では数十万円〜数百万円の徴収に迫られる可能性もあるのです。
ニュースなどでは数億円規模の所得隠しがあったときに逮捕されるケースが報道されることがありますが、小さな規模の取引であったとしても、確定申告はやるべきこととしてきちんとしておきましょう。
損失が出ているときこそ確定申告
FXでは「利益が出ているときだけ確定申告をする」と認識している人が多いです。赤字のときはそもそも儲かっていないので、申告しなかった場合に益も不利益もないと感じてしまうようです。もちろん利益が出ているときには確定申告は必須になりますが、逆に損失が出ているときに確定申告を行うことで、メリットがあるケースも存在します。
FXで損失が出たときは、「翌年繰越控除」を受けることができるという大きな特徴があります。損失が出ているときには、翌年以降3年間は利益が出たときに相殺できるという便利な制度があるのです。赤字を繰り越して翌年の利益と相殺できる仕組みによって節税効果が期待できます。
これは個人事業主が赤字を繰り越して、翌年以降に黒字と相殺できる仕組みと似ており、浮き沈みのあるフィールドでお金を動かすときには便利な制度であるといえます。
FXはレートが上がるか下がるかの2択であるにもかかわらず、実際に利益を出している人は1割以下ともいわれています。FXに挑戦してみたものの、赤字になってしまったという場合にもしっかり確定申告をして、翌年の節税に努めていきましょう。
FXの確定申告まとめ
FXをしたら確定申告を行うことは必須の作業です。年間所得が38万円以下のフリーター・専業主婦といった条件に当てはまる一部の人では確定申告が不要ですが、基本的にはFXをしたら申告が必要と捉えておくと良いでしょう。
利益が出たときはもちろん、赤字のときも申告することで翌年以降の節税対策につながります。