顧客育成(リードナーチャリング)とは
リードナーチャリングとは、「様々な施策や手法で見込み客(リード)に、定期的にコンタクトして信頼関係を構築しながら、購買意欲を高めるプロセスや施策、手法」という説明がWebサイトに載っています。
正直とっても難しい説明です。
その為、あえて分かりやすく言えば、「見込客(顧客)に興味を持たせ続ける」ことです。
人は、興味がないとその商品やサービスのことを忘れます。
知ってから数時間~数日もすると完全に忘れます。
Googleで検索し、問い合わせフォームから連絡をしても次の日には、問い合わせをしたことすら忘れています。
しかし、問い合わせするほど興味が湧いたのだから、そのホットな状態に次の興味を注入すれば、興味は持続します。
その繰り返しがナーチャリングです。
しかし、常に高い興味を持ち続けるわけではありません。
当然時間が経てば、興味は落ちていきます。
その為、一定ラインまで興味が落ち、無関心になる前に次の情報を提供することで、ギリギリ「無関心」になることを防ぐのです。
ナーチャリングでは、定期的にメールや電話をして見込客の状況を伺い、見込客が「必用(検討してもいいかも)と思う状態」なのかを探っていくのです。
つまり、ナーチャリングとは、この定期的なメールや電話によるアクションを行い、見込客(顧客)の状況(ステータス)を管理して、見込客(顧客)の興味を持続させることなのです。
以降では、リードナーチャリングの目的をもう少し深く説明いたします。
リードナーチャリングの目的とは
リードナーチャリングの目的とは「「見込客(顧客)に興味を持たせ続ける」ことですが、興味を維持することで下記2つの目的が実現できます。
- 購入・検討機会創出
- 購入・検討機会損失の最小化
目的①:購入・検討機会創出
人が購入を検討する際には、「購入候補リスト」を自然と頭の中に作ります。
このリストに入れないとそもそも購入されるという機会は訪れません。
その為、ナーチャリングにより、見込客(顧客)の頭の中にある「購入候補リスト」に自社製品やサービスをエントリーしてもらう必要があります。
目的②:購入・検討機会損失の最小化
見込客(顧客)の「購入候補リスト」にエントリーされたら安泰ではありません。
人は忘れる生き物であり、新しい情報の方が当然鮮明に記憶が残ります。
その為、自社製品を知ってもらった時は、最有力候補でも時間が経つと記憶が薄れます。
自社製品を思い出す機会がないと、最後には「購入候補リスト」から外れてしまいます。
そうなると、購入機会が失われます。
その為、ナーチャリングにより「購入候補リスト」から外れないように記憶を定着させる必要があるのです。
リードナーチャリングの役割とは
リードナーチャリングの役割とは「見込客(顧客)がどんなキーワードに興味を示すのかを知り、購入候補リストから漏れないようにする」ことです。
どれだけ興味があるのかは正直今の技術では、分かりようがありません。
あくまでも推測を元に興味がどの程度なのかを判断しています。
その為には、様々なフレーズの組み合わせにより作ったキャッチコピーのクリック率を調査します。
反応があった見込客(顧客)に対して次の情報を提供することで、ナーチャリングを進めていきます。
問い合わせの母数が大きければ数%の改善でも、見込顧客の数は一定量になるので、数%の改善を繰り返していくことで、ホットな状態の見込顧客をリスト化して営業マンやインサイトセールスに渡します。
リードナーチャリングが営業活動に欠かせない理由
リードナーチャリングが営業活動に欠かせない理由は、主に下記3つが挙げられます。
- 顧客が能動的に情報収集と他者比較を行うになった
- 顧客に合わせたアプローチが必要になった
- 購入・導入までのプロセスが長期化するから
いずれもインターネット上で情報収集が容易になったことにより企業担当者が多くの製品を知ることができるようになったからです。
企業担当者の選択製品の幅が広がったことは、良いことですが情報過多により、ナーチャリングが欠かせないプロセスになりました。
以降ではこの3つの理由を説明いたします。
顧客が能動的に情報収集と他社比較を行うになった
企業担当者がインターネットで製品情報を入手して、比較検討することが当たり前になりました。
その結果、インターネット上で情報が入手できない製品は「存在しないのと同じ」というぐらいインターネット上での情報公開は必用不可欠です。
つまり、情報を積極的に公開していかないと、「購入候補リスト」にエントリーされないのです。
それが、企業に更なる情報開示の動機になり、能動的な情報収集を促す結果になりました。
その為、製品情報を様々なデジタルコンテンツで公開し、そのコンテンツに触れた時反応があったのかを把握して次の興味に結び付ける必要がある為、リードナーチャリングが営業活動に欠かせない存在になりました。
顧客に合わせたアプローチが必要になった
企業がより積極的に製品の情報公開をすることで、企業担当者は製品知識を多く待つことができますが、その結果企業担当者の持つ情報が多くなり、「どの製品が内に一番いいのかわからない!」というジレンマに陥ります。
そのような状況になると自社製品が「企業の業務課題をいかに改善させることができるのか」を知ってもらう必要があります。
その結果、より顧客に合わせたアプローチが必要になり、リードナーチャリングが営業活動に欠かせない存在になりました。
購入・導入までのプロセスが長期化するから
選択できる製品数が少ないと、限られた情報から製品を選択すればよかったので、「実際に使ってみないと分からない」という結論に至る為、購入・導入までのプロセスが長期化するケースはそれほど多くなかったと思われます。
しかし、情報が多いと製品の比較情報が多くなるので、比較項目の検討が必要になります。
また、最近では、比較サイトや資料一括ダウンロードサイトから簡単に多くの製品情報が入手できます。
更にITツールの場合、クラウド化したことで容易に無料トライアルを使うことも可能となりました。
その結果、購入・導入までのプロセスが長期化したのです。
そうなると、初めに情報を得た製品の情報は後発に確認した製品情報と混ざり、次第にはじめに入手した情報はぼやけた情報になっていきます。
つまり、購入候補リストの順位がズルズルと落ちてしまうのです。
それを防ぐためにも、リードナーチャリングが営業活動に欠かせない存在になりました。
この状態は、どこのメーカーも同じなので、ナーチャリングにより力を入れた企業の情報が企業担当者の脳裏に残っていきます。
リードナーチャリングを行うメリット
リードナーチャリングを行うメリットは、主に下記3つになります。
- 長期的な顧客対応業務を仕組み化できる
- 営業活動の効率化ができる
- 休眠顧客や失注案件の掘り起こしができる
オンラインによる情報収集がメインになった現在では、オンライン上での行動履歴を把握することが可能になりました。
その結果、属人化を減らし、営業活動の効率化が重要になります。
更には、メールやチャットによる一括配信により過去に問い合わせのあった方へのアプローチも容易になったのです。
以降では、リードナーチャリングを行うメリットをもう少し深堀して説明します。
長期的な顧客対応業務を仕組み化できる
営業と言えば、営業マンが顧客情報の獲得からクロージングまで行っていましたが、今はオンライン上での行動履歴の把握が可能となり、よりシステマチックに営業を行う時代になりました。
その為、顧客情報の獲得は、マーケターが主に担い、その後は、インサイドセールス、フィールドセールスが担当します。
つまり、役割を細分化した体制を整え、顧客の状態に合わせて担当者(インサイドセールスかフィールドセールス)を変える仕組みが可能となりました。
この場合、重要なのは、各担当者が見込客(顧客)に行った営業活動を一元的に管理することです。
その為には、CRMツールの選定がポイントになります。
営業活動の効率化ができる
役割を細分化することで、効率化が図れ、役割の専業化により見込顧客への対応ノウハウが蓄積されます。
「このパターンは、この言い方(伝え方)が効果が高い」といったノウハウをブラッシュアップすることができるので、営業活動が効率化できます。
つまり昔の営業マンのように「浅く広く」ではなく、「狭く深く」が今の営業手法です。
その結果、見込顧客をより多く次の担当者に渡すことが可能になったのです。
もちろん、件数を増やせるだけではなく、より精度の高い見込顧客を引き継ぐことができるので、受注率も上がります。
このようにナーチャリングを行えば顧客のニーズや興味を少しでも収集することで、次の担当者へのパスが容易になり、受注率も上がるのです。
>>受注率を向上させる7つの方法!一向に受注率が上がらない要因も解説
休眠顧客や失注案件の掘り起こしができる
休眠顧客や失注案件であっても、そこに至るまでに蓄積した顧客情報が一元管理されていれば、再度ナーチャリングすることで、新たなニーズを掘り起こすことも可能になります。
組織が分断され、連携されていない場合は、ナーチャリング対象のリストを引き継ぐたけでも時間を要します。
その為、営業全体をデジタル化する場合には、顧客情報を一元化するツール活用が必須となります。
ツールを使って顧客情報を一元管理すれば、営業マンが「ナーチャリング対象!」と顧客情報を変更すれば、迅速にナーチャリングが行われることになるのです。
リードナーチャリングの具体的な5つの施策と手法
リードナーチャリングの具体的な方法は、主に以下5つになります。
- Web行動履歴のトラッキング
- メルマガ(ステップメール)の配信
- セミナー/ウェビナーの開催
- ホワイトペーパーの作成
- ソーシャルメディア(SNS)の活用
よく目にする施策なので目新しく無いですが、「何の為に行っているのかを」考えると取り組む姿勢が変わると思います。
①:Web行動履歴のトラッキング
MAツールを用いることで、Web行動履歴のトラッキングが可能となります。
行動履歴のトラッキング情報を元に「誰がいつどのWebページを閲覧したのか」を把握する事が可能となります。
このトラッキング情報を元に次にどのようなデジタルコンテンツを提供するのかを判断します。
トラッキング情報で特定条件に該当した場合は、決めていたデジタルコンテンツ(メール等)を自動的に送ることで、ナーチャリングの自動的化が実現できます。
この施策は、前提として、Webからの問い合わせを受けていることが必須となります。
但し、高額なMAツールの場合、セッション管理機能が搭載され、Webサイトに訪問されただけで訪問者のIPアドレスやクッキーから訪問者を特定する仕組みがあります。
②:メルマガ(ステップメール)の配信
顧客のニーズに合わせてメールをステップ的に送ります。
例えば、ウェビナーの紹介メールを送り、開封されなかった場合は、開封を促す2回目のメールを3日後に送るといったメールです。
メール送信サービスで、ステップメールを行うこともできますが、現在はWeb行動履歴のトラッキングも同時に行う為、MAツールを用いてステップメールを行うケースが増えてきました。
③:セミナー/ウェビナーの開催
見込顧客のニーズや課題を絞り込みやすい為、セミナー/ウェビナーの開催は、受注率を上げる施策です。
但し、集客する必要がある為簡単には実施できません。
開催の準備とどのようなテーマで行うかの企画力が必要である為、セミナー開催コンサルに依頼する場合もあります。
④:ホワイトペーパーの作成
見込顧客のニーズや課題を絞り込みやすい為、ホワイトペーパーの作成もよく行われます。
但し、情報収集レベルが多く「情報だけとられる!」ことも事実です。
問い合わせを獲得する為のホワイトペーパーを作成する為にはそれなりのクオリティが必用になるので、コストに見合ったリターンがあるのか微妙なところです。
⑤:ソーシャルメディア(SNS)の活用
メールの次に活用ケースが多いです。
特に、BtoCの場合は、SNSの利用がほぼマストになります。
特にLINE、Instagram活用が多いです。最近はfacebookは見なくなりましたね、、、。
SNSアカウントで「繋がり」を作り上げることで、新しい商品やサービス等の情報を素早く連絡することができます。
昔は、繋がる数が重要でしたが、最近では特定の利用者に深くつながる事の方が売り上げに結び付き安いです。
リードナーチャリングで注意すべき点
リードナーチャリングで注意すべき点には主に下記2つがあります。
- 顧客視点に立った情報提供を心掛ける
- 営業部との情報共有や円滑な連携を心がける
ナーチャリングは、心理的な営業活動です。
その為、些細なフレーズの違いでリンクをクリックされないのでABテストによるトライ&エラーが必須となります。
但し、無策に行っても打率が低くなるため、実施にはポイントがあります。
以降で詳しく説明いたします。
顧客視点に立った情報提供を心掛ける
まずは、顧客視点に立つことは非常に重要です。
自分に置き換えて考えれば分かりますが、ケーキと一緒にコーヒーが飲みたい人に野菜ジュースを進めても購買意欲は上がりません。
その為、「顧客視点に立った情報提供」が重要になるのです。
では、「顧客視点に立った情報提供」するにはどうすればよいでしょうか?
顧客視点に立つためにはニーズをつかみやすいデジタルコンテンツを作成し、そのデジタルコンテンツを閲覧しているのなら、「コーヒーが欲しいはずだ」と推測して情報提供すれば、クリック率は間違いなく上がるはずです。
更に、リンクやバナーにも注意が必要です。
コーヒーが欲しいけど、アメリカンのコーヒーが欲しい人にエスプレッソを出しても反応してもらえません。
その為、よりニーズが絞り込めるデジタルコンテンツを作成し、そのページを見ている人にそのニーズにマッチしたリンクやバナーを見せる方がクリック率は上がります。
(数をとれるかは別ですが、、、、)
こちらが見せたい情報があるのなら、その情報を欲しいと思う人に対してアプローチをしなければいつまでも経っても問い合わせを受けることはできないというわけです。
営業部との情報共有や円滑な連携を心がける
営業マンやインサイドセールスとの情報共用は、ナーチャリングを行うマーケターにとって非常に重要です。
情報共有していない場合、マーケターは直にお客様の声を聴いていないので、空想でニーズを設定することになるからです。
それでは、クリック率を上げることは難しいと思います。
有料の市場調査を行う場合もありますが、生の声を聴いている営業マンやインサイドセールスに受注した顧客のニーズや受注に至った経緯を聞き出すことで、ニーズにマッチしたコピー等を検討することができるはずです。
ナーチャリングは心理戦なので、マーケターは情報連携を心がける必要があります。
リードナーチャリングに最適なおすすめツール
リードナーチャリングに最適なおすすめツールは、freshworks社の「Freshsales Suite」です。
ナーチャリングだけを見れば、高機能なMAツールが良いかもしれませんが、受注することが目的なので、新規獲得から受注までの全体を通してバランスのとれた製品が良いと思います。
利用用途や目的により企業にとってのベストマッチツールは違ってきますが、「Freshsales Suite」はMA機能とCRM機能そして、インサイドセールスに必要な通話機能まで搭載しているのでオールインワン製品になります。
且つ価格も非常に抑えられているのでスタートアップ企業でも採用されています。
CRMツール|顧客情報の一元管理が可能
「Freshsale Suit」には、MA機能とIP電話機能機能が搭載されています。
その結果、利用者が営業マンだけではなく、マーケターとインサイドセールスまで広がりました。
今までは、CRM製品とMA製品を別に使っていて一元管理がなかなか進まない企業が多かったと思いますが、「Freshsale Suit」ではそんな心配はありません。
問合せフォームとの連携も可能なので、問合せ者の登録情報がそのまま「Freshsale Suit」の連絡先に「リード(見込客)」として登録されます。
「Freshsales Suit」を使えば、マーケター、インサイドセールス、フィールドセールスのそれぞれが行った営業活動を全て記録でき、全員で同一の顧客情報と営業活動を閲覧することが可能となります。
また、「Freshsales Suit」は使い勝手もよいです。
例えば、1画面上で「アポ取り」「メール送信」「電話」「商談(ディール)登録」というアクションがスムーズに実行できる画面構成になっているので、「難しくてよくわからない、、、」なんてことはまずないです。
MAツール|マーケティングやスコアリングが可能
MAツールは、マーケターが主に利用する機能ですが、月額10万円を超える高級ツールもあり、高機能なツールが市場には揃っています。
「Freshsales Suit」のMA機能は、月額10万円を超えるツールにはかないませんが、必用な機能がしっかり搭載されています。
MA機能の代表的な機能としては、
- 既存問合せフォームとの連携機能
- セグメント機能
- キャンペーンメール機能
- ジャーニー機能
- チャットキャンペーン機能
です。
お勧めは、ジャーニー機能です。
問い合わせ者の行動履歴に合わせて、メールを送信したり、顧客情報を更新しつつインサイドセールスにアポイントのタスク通知を送るなどの設定が行えます。。
ジャーニー機能は、リードナーチャリングを行う為の機能で、条件付けの自由度が非常に高いので、この機能を利用するだけでも利用価値はあります!。
例:サイトに訪問された方に50%OFFキャンペーンメールを送る
まとめ
ここまで、読んでいただきましてありがとうございます。
リードナーチャリングは、今後の営業活動には必須になります。
特にBtoBでは。ナーチャリングを行う場合と行わない場合では、明らかに売り上げが変わります。
リードナーチャリングは、見込顧客の立場になってニーズを推測しながらABテストを行っていく必要があり、心理戦になります。
最近のツールは非常によくできているのでなんとなく操作していくと設定は可能ですが、なかなか結果が出ないという企業は多いです。
マーケターの経験が重要になりますが、中小企業ではそのような人材は少ないので、専門化に相談することも必要です。